伝統2009/04/27

こないだテレビでドイツ人建築家カール・ベンクス氏の古民家再生術を見ました。店主は以前から「本物同士であれば和洋を問わず共存できる。」と思っていたのですが、彼の作品を見て益々そう思うようになりました。他の要素が加わることで化合なのか発酵なのか・・・とにかく深みのある味わいが増すというか、なんとも言えない魅力を醸し出す場合があります。古い日本家屋で育った店主の個人的な好みの問題ですが。カール氏についてはこちら。http://www.k-bengs.com/

こんにちは。久々のクラークスで「ただいま~。」気分のモジュール店主です。最近チャッカブーツやデザートブーツが流行っているので店主も買いなおしました。デッキシューズも流行ってますが、今の気分はデザートブーツですね。今時しょうがないとはいえアジア生産になってしまったクラークスですが、恐る恐る足を入れてみると・・・思ったほど悪くない!コンバースのオールスターのせいでアジア生産の靴には良いイメージが無いのですが、ちょっと安心しました。とはいえ、選びに選んで中国製を避け、若干評価の高いベトナム製の物を買ったのですが。

さて、コストカットが企業の1番の使命となった現代ですから、服や靴だけでなく、家や車も随分手抜きされているのだろうと疑ってしまいます。そんな状況を前述のカール氏は「昔は宝石のような家が沢山あったのに、今は砂利だらけになってしまった。」と言っていました。なかなか良い例えだなぁと感心していましたが、カール氏が手がけた建築物を見て更に驚きました。もはや洋風なのか和風なのか判らない雰囲気(笑)ただ、印象として本物で固められた贅沢な雰囲気は一瞬で理解できました。ボロくなる物と味が出る物の違いがそこにあるんだろうな、と。

服にも○○年間変わらない・・・みたいな物がありますが、大概大きく変貌してます。大雑把な部分に魅力を感じたあの服も今は生産国が変わり単なる作りの悪い服になってたり、価格のわりに良い物が単なる安物になってたり。なんでもそうなんですが、良い時の物を知ってると悪くなった物を買う気になれませんね。アメリカ製のオールスターは10足以上履きつぶしましたが、アジア製になってから1度買ってそれっきりです。アジアで買った50円もしないサンダルと同じ履き心地ですからね。ソールの接着もひどいもんです。クラークスがそうなってない事を祈りつつしばらく様子を見ようと思ってます。

しかし、伝統のある物を評価するより今の最新の物を評価する方が難しいんじゃないか?と思う時もあります。今生まれたての物の中に、もし100年人を惹きつける物があったとして、それを見つけれるかどうか。今定番モノなんて言われてる物も、出た当初は何の実績も無い最新型だった訳ですから。

伝統のある物は廃れ、新しい物は偽物ばかり、逆に判断を難しくするほどの情報量。そんな中で自分にピッタリな物に囲まれて過ごすには、やっぱり五感に頼るしかないなと思ってます。良くわからないけど持った時に気持ち良いグラス、着ている事を忘れるような部屋着、帰宅した時に嬉しくなる匂い、ゴミを捨てに出る時にちょっと嬉しいサンダル、出かけて人に会いたくなる服、そういう物を集めて自分なりに生活に付加価値をつけていきたいなと思います。

物に囲まれたところで、「これ良いね!」って言える仲間に囲まれてなきゃ寂しいんですがね(笑)