合理的な考え2011/05/16

肉を斬らせたら撃墜されるのが空戦。骨は断てません。
着陸での衝撃に強く、整備し易く、操縦席の設計には人間工学を取り入れたドイツのフォッケウルフFw190。前回のブログに画像を載せましたが、戦時中の日本では日の丸を付けたFw190がテストに使われたり設計の参考にされたりしていました。P-51vs Fw190 vs 三式戦闘機(飛燕)vs 四式戦闘機(疾風)のテスト飛行・・・。想像しただけで熱いものを感じますね。

こんにちは。接着剤を買っていない為手付かずのプラモデルがあるモジュール店主です。あまりアメリカ軍機について知らない店主なのですが、上記したP-51は第二次世界大戦時の最優秀戦闘機と称される事の多いアメリカ軍機ですのでご存知の方も多いかもしれません。航続距離や速度等スペックにおいて日本軍機を圧倒するP-51ですが、生産の合理性も日本の上を(随分)行っていました。

合理性でみると最悪なレベルの旧日本軍(日本国)が派閥や利権争いに加え責任のなすり合いをしている頃、アメリカはイギリスのロールス・ロイス社のマーリンエンジンをライセンス生産しP-51の開発に成功します。このライセンス生産を請け負ったパッカード社はアメリカの高級車メーカーだったのですが、パッカード社の車は戦前日本の皇族も使用していたというのが皮肉な話です。

ちなみにマーリンエンジン搭載前のP-51(A-36) に搭載されていたエンジンを製造していたアリソン社はホットロッド用のエンジンを作っていたメーカーです(その後他社に買収)。アメリカの戦闘機話にも車関連のメーカーがゴロゴロ出てきます。

欧米の戦闘機や兵器の合理性を見る時、欧米は人間の能力を過信しない部分があるように思えます。というのは日本が「一撃必中」のスローガンで特別攻撃隊(体当たり部隊だよ)を編成している頃、アメリカはVT信管なる物を開発しています。VT信管というのは発射された弾が敵機を感知すると起爆して破片で敵機を攻撃できる砲弾についている装置です。

命と引き換えに爆弾を命中させろと命令した日本と、多大な費用を払ってでも命中させなくていい砲弾を作ったアメリカ。実は大正時代に八木アンテナというレーダーが日本で発明されていたのですが、欧米では仕組みが取り入れられたのに対して日本では見向きもされませんでした。つまり日欧米の差は費用の問題でも研究者の質の問題でも無かった訳です。

各国が総力をあげて争う時の技術進歩の速さは凄まじく、技術開発だけでなく日々変化する戦闘に合わせ運用の仕方も柔軟に変える必要があります。お上主義のルーティンワークでは勝てなかったんですね。まさにマリアナの七面鳥撃ち。

少数のエキスパートが数で勝るザコを一網打尽というのはアニメの世界の話のようです。