それはムード・・・甘いムード2012/03/25

CDが安く買えるんだから、浮いた分で新ジャンル開拓!
期間限定になるかと思いますが、お店にレコードプレイヤーを持って来ました。このレコードプレイヤーは15年程前に友人のお父さんから譲っていただいた物。さらに実家で10年程放置していたので壊れているのかと思いましたが、不良箇所もノイズも無く無事再生できました。せっかくなのでヘッドシェルと針を新品に交換。現在お店で元気に稼働中です。

レコードの音質、16bitのCDか24bitのPCオーディオか・・・そんな話はネット上にいくらでも書いてあるのでそちらを参照していただくとして、個人的にはこの儀式的とも思えるレコードの再生方法が好きです。

お店ではお客様に何度も話しているのですが、かつてソ連ではビートルズはおろか、ロッカーや長髪の男は政府の弾圧の対象でした。そんな時代にビートルズの音源は海賊盤が政府の目を盗んで闇取引されていたらしく、名曲が違法な物というスリリングな演出のもとで手に入った訳です。緊張しながらレントゲンのネガに刻まれた音源(こうして出回ったらしい)に針を落とす・・・。

こんなシチュエーションは、名曲を一層感動的にリスナーに伝えた事でしょう。

世の中に似たような物が出回ったり、それらを誰でも簡単に手に入れる事が出来る均一化された世の中では、短絡的な目的の達成自体の価値よりも演出にこだわった方が満足度が高いのではないかと思います。同じ場所へ行くにも飛行機か車かバイクか自転車か走るか徒歩かで全く印象と過程が違うように、同じ事をするなら自分にとって1番感動的な方法やシチュエーションを選ぶのも満足度の高い暮らしに繋がる気がします。

アンプが温まるのを待ってビニール・ジャケット・薄いカバーと順に外し、慎重にレコード盤をプレイヤーにセットして針を落とす。それは大好きな音楽の扱いにふさわしい丁寧な行為です。壊れやすい物は、自然と大切に扱うもんです。携帯できない再生装置でNo Music No Lifeな生活は叶いませんが、音楽を聴いている時は活き活きとしているでしょう。

薄型化あるいは小型化した物のおかげで空いたスペースには植物やオブジェを置いて空間を豊かにする。面倒な事を短時間で処理できる便利さを手に入れたら、その余った時間で好きな事をして豊かな時間を過ごす。空間から溢れるほどに集めたお気に入りの物に囲まれた空間で仲間や家族と過ごす。止めろと言われても止めれないほど好きな事には手間と時間をかけて存分に楽しむ。

古いレコードプレイヤーの上でクルクル回るお気に入りのレコードを眺めながら、そんな暮らしを想像していました。

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