ほろ苦いビールの味2012/12/12

何年もブログで文章を書いていると
今までに書いた事の記憶が曖昧になって
以前書いたかな?と思って止めてしまう事も多いです。

お店を始める直前の頃訪れたロンドンとパリ。
今思い返しても印象深い出来事があったその時の旅行。
時々しんみりと思い出してしまうので書いておこうと思います。

バイク、音楽、ファッション等に
若い頃から憧れていながら10年程後回しにしたイギリス。
何故だか空港へ向けて降下していく飛行機の窓から見た景色は
今でも鮮明に記憶に残っています。

タイなら数百円だろ?と言いたくなるインド人経営のホテル
思ったほど良い古着に出会えなかった事
ライブハウスでの出来事・・・
書き出すとそれなりに長くなるので割愛。

ロンドンでの印象深い出来事は
郊外にあるイギリス空軍博物館に
日本陸軍の五式戦闘機を見に行った帰りのバス停での事。
バス停で1組の上品な老夫婦と一緒に同じバスを待ちました。
やがてバスが到着し奥さんをエスコートする老紳士。
スマートなもんだなと感心しながら見ていると
次に店主に先を譲ってくれました。
とっさの事で反射的にお礼を言って乗ってしまいましたが
あの時先を譲れば良かったと、何故かいまだに後悔します。
あれで良かったのか、どう思われたか、
そんな事はどうでも良くて、何故か妙に心に引っかかるのです。

数日後ロンドンからパリに向かいました。
ライブをしに行ってから数年後のパリ。
パリでのライブは出来も反応も良かったのでパリの印象は良かったのですが、
ゆっくり観光をしてますます好きになったのがパリ。
すっかりハマってしまい、またいずれ行く予定の街です。

その時のパリではあまり治安が良くないと聞いていた北駅周辺の
まぁ、昼間も怪しげな人が多い辺りに安宿を見つけて宿泊。
昼酒を飲んで夕方の楽しみはスーパーで晩酌のツマミ探しと
リラックスよりは堕落した日々を過ごしていましたが
ある時最後にもう一軒と寄ったバーでの出来事も印象深いです。

窓際に座ってボーっとビールを飲んでいたら
車椅子に乗った人がガラス越しにじっとこっちを見てきます。
固まった表情からも何も読み取れないのですが、
ずっとこっちを見ています。

それなりに頭を回転させて考えてみたのですが対処がわからずに居ると
店内から慌てて数人の男性が出て行き
その車椅子の人が横断歩道を渡るのを手助けし始めました。

あの時同じ店に居た周りの人達と自分の対処の仕方の差。
恥ずかしい気持ちになりながらも一層パリが好きになった瞬間でした。

この2つの出来事は今でも時々思い出して
今ならスマートに状況に対処できるのかな?と
自分を省みる機会になっているのですが、どうなんでしょうね。

ただ、流暢に言葉を操れなくても
どこに居てもその場にふさわしい行動をとれる人にはなりたいです。

いろんな経験に「今なら出来るか?」と問われる事は多いですが
その半分も出来ないんじゃないかなと反省する事が多いです。

そんなことを言ってる場合か、という年齢になってしまいましたが。